1.5 プロトコルスタック
ディジタル放送システムの構築にあたっては,衛星波,地上波,ケーブルといった伝送路の放送方式が統一した考え方のもとに設計され,同じコンテンツがどの伝送路を通じても放送できるとともに,受信機の共通化を可能とすることが望ましくなります.
これは,伝送方式としては伝送路ごとに最適な方式とし,サービスに関する方式はできるだけ共通な方式とすることで可能となります.このような考え方に沿った信号構成のイメージを図6に示します.
[図6] ディジタル放送システムに |
このような基本的な考え方に基づき,具体的なプロトコルが規格化されています.図5の(A)点におけるプロトコルスタックを図7に示します.
[図7] ディジタル放送のプロトコルスタック |
ディジタル放送は,放送局から視聴者への下り回線に衛星波,地上波,ケーブルを用いた「1:多」の接続システムですが,CAS(2.7節参照)および双方向サービスのために視聴者からの上り回線も想定されています.
電波産業会(ARIB)において規格化された「BSデジタル放送用受信装置標準規格」(ARIB STD-B21)の規定では電話線用のモデムを必須としており,「デジタル放送におけるデータ放送符号化方式と伝送方式標準規格」(ARIB STD-B24)では上り回線用のプロトコルが規定されています.
下り回線プロトコルについては,欧米のディジタル放送方式と同じく伝送路依存部の上でMPEG-2 TS(Transport Stream)による映像,音声,番組配列情報(SI:Service Information),データなどの多重が行われます.
データ放送サービスには,蓄積型サービスとリアルタイム型サービス(字幕・文字スーパーなど)があり,前者についてはMPEG-2 DSM-CC(Digital Storage Media-Command and Control:サーバ-端末間制御プロトコル)のデータカルーセル方式が用いられ,後者については独立PES(Packetized Elementary Stream)による伝送方式が用いられます(2.6節参照).
1.1 ディジタル放送のシステムイメージ 1.2 現在の開発動向 1.3 ディジタル放送のサービスイメージ 1.4 システムモデル 1.5 プロトコルスタック 参考文献 |
Copyright 2000 吉村 俊郎