一方,最近では,選択的に必要な信号だけが得られるような測定方法の工夫(シングルチャネル検出法)も,ときに重要と考えられている(図3の選択化).そのためには,不必要な情報が完璧にカットされ,必要な情報だけが浮かび上がるような環境を測定対象に対して作る必要がある.
従来の光学顕微鏡の常識を覆して,試料の望む特定の断層だけを見ることのできる光学顕微鏡が,現在広く用いられるようになってきた.これは,共焦点(コンフォーカル)顕微鏡と呼ばれる3),4), 図6).
このようなシングルチャネル検出法は,先に述べたマルチプレックス法やマルチチャネル法と比べて,ほかのチャネルの信号の混入がないので,S/N比(信号と雑音の比)が高いという利点がある. 世の中を見渡すと,光学顕微鏡にかぎらず,電子顕微鏡やファクシミリ,レーザスキャナ,レーザビームプリンタなどなど,シングルチャネルのオンパレードである.写真もディジタルカメラに変わりつつあり,すでに映画は家庭用のみならず劇場用でもディジタルビデオの時代に変わりつつある. もちろん,CDなどの光メモリもディジタル化され,さらに進んでDVDの時代に突入している.シングルチャネル法は,これらディジタル時代のニーズによく合っているといえる. ![]() 参考文献 3) 河田聡,南茂夫,『科学計測のための画像データ処理』,CQ出版(株) 4) 河田聡編,『新しい光学顕微鏡 第一巻 レーザ顕微鏡の理論と実際』,学際企画 5月号特集トップページへ戻る Copyright 2001 河田 聡 |