最新の計測技法では,アクティブフィードバック回路をそのシステムの中にもっている(図2).昔のデータ処理(オフライン)を含む計測系においては,得られた実験結果からいかに巧みに必要とする情報を,コンピュータや手計算で引き出すかがたいせつであった.
最近のインバータはダメだが,少し以前の蛍光灯なら,首を素早く振りながら蛍光灯を見ると,蛍光灯が点滅していることがわかった.先に述べた恐竜の例では,応答がなければ叩いたりつねったりした.これらもアクティブ計測の一つといえる. 制御のために計測が援用されるのが,従来の計測と制御の一体化の発想であった.たとえば,ロボットには必ず目が必要である.人間の手が物をつかむときは,目でその距離を追わなければならないし,手が近づくと,指先は物に触れるのを感じながら,手が折れたり物が壊れないように優しくそれをつかむ.視覚センサと触覚センサが,手と指の運動の制御を支援しているのである〔図11(a)〕.
しかし,ここで述べている新しい科学計測のありかたにおいては,計測と制御の関係が逆で,計測を制御系が支援することによる計測制御の一体化である.物を目で見るために,その近くに首を動かし,必要なら手に取ってみる.小さければ,物体を指先でぐるぐる回してみる〔図11(b)〕.似ているように見えて,じつはこれらは逆である.あるいは両者の融合といってもかまわない. ![]() 5月号特集トップページへ戻る Copyright 2001 河田 聡 |