フレッシャーズ向け　2009年春号ARMマイコン活用入門大特集

LPCシリーズのFGPIOがハイ・インピーダンス状態にならない

　若松通商から『ペン・タイプ形状ロジック・チエッカHL-49』（http://www.wakamatsu-net.com/cgibin/biz/pageshousai.cgi?code=38230051&CATE=3823）が発売されています．

　このロジック・チェッカはパルス検出機能付きの“H”レベル/“L”レベルのロジック・レベル判定が可能ですが，さらにハイ・インピーダンス状態の検出もできる優れものです．付属ARMマイコン基板の各I/O端子の状態の状態を判定するのにもってこいのデバッグ・ツールです．

　しかし，実際にLPCシリーズのFGPIOの入出力方向を入力方向に切り替えても，そのI/Oピンのレベルはハイ・インピーダンス状態になりません．これはLPCシリーズのFGPIOは，デフォルトでプルアップが有効になっているためです．

　内蔵プルアップ機能を無効にするには，PINMODEnレジスタを設定してプルアップまたはプルダウンのどちらの機能もディセーブルに設定する必要があります．参考のため，LPCシリーズのFGPIOポート4を“H”レベル→“L”レベル→ハイ・インピーダンス状態→“H”レベル→…と3状態の切り替えるサンプル・プログラムを作成しました．IAR評価版で作成しています．

>>　LPCシリーズFGPIOポート4を3状態に切り替えるテスト・プログラム(HL49tst.zip)

　上記アーカイブ・ファイルを解凍して，Debug\Exe\FGPIOtst.hex をFlashMagicを使って付属ARMマイコン基板に書き込んでください．書き込んだプログラムの実行には特別な操作は不要です．リセットを解除するとすぐにFGPIOのポート4の状態を切り替えます．

　付属ARMマイコン基板上で本プログラムを実行している状態で，CN1の1番ピン～16番ピンのいずれかにHL-49のテスト・ピンを当てて見てください（このときHL-49のグラウンド・プローブを，JP1の2番ピンなどのGNDピンをクリップしておくこと）．すると，HL-49の表示が“H”→“L”→“-”→“H”→…と切り替わるはずです．

写真　HL-49を使ってハイ・インピーダンス状態を判定したところ
（写真では別のピンにテスト・ピンを当てているが，本プログラムの場合はCN1の1～16番ピンのいずれかに当てること）

　付属ARMマイコン基板とLAN＆SDカード・ソケット拡張子基板の組み合わせで，SD/MMCカードが正しく動作するかどうかを確認するためのビルド済みファイルを用意しました．

>> SD/MMCカード初期化＆MBRセクタ・ダンプ・プログラム（mcitest.hex）

　ダウンロードしたmcitest.hexをFlashMagicを使って付属ARMマイコン基板に書き込んでください．次に下記の写真のように付属ARMマイコン基板にLAN＆SDカード・ソケット拡張子基板を接続してください．また付属ARMマイコン基板のCN5をパソコンと接続してください．

　パソコン側ではCN5を認識した仮想COMポートに対してターミナルを開いてください．通信速度は230400bps，データ長8ビット，ストップビット1ビット，パリティなし，フロー制御なしというパラメータです．
　以上のLAN＆SDカード・ソケット拡張子基板にSD/MMCカードを差し込むと，下記のようなメッセージがターミナルに表示されます．種類の異なるカードを抜き差しして表示内容が異なることを確認してください．

**********

**** Insert a memory card ****
**** Card detected ****

**** Initialization succeeded ****



---- Memory card status ---------------------------------------------

Drive size: 121856 sectors
Sector size: 512
Erase block size: 32 sectors
Card type: 2
CSD:
00000000  00 26 00 32 1F 59 83 B7 FE F9 CF FF 92 40 40 CC  .&.2.Y.......@@.
CID:
00000000  03 53 44 53 52 30 36 34 55 00 43 0F C3 00 49 BA  .SDSR064U.C...I.
OCR:
00000000  80 FF 80 00  ....
SD Status:
00000000  80 00 00 00 00 00 00 2B 00 00 00 00 00 00 00 00  .......+........
00000010  00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00  ................
00000020  00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00  ................
00000030  00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00  ................

---- Physical sector 0 (MBR) dump ------------------------------------

00000000  00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00  ................
00000010  00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00  ................
00000020  00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00  ................
00000030  00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00  ................
00000040  00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00  ................
00000050  00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00  ................
00000060  00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00  ................
00000070  00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00  ................
00000080  00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00  ................
00000090  00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00  ................
000000A0  00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00  ................
000000B0  00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00  ................
000000C0  00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00  ................
000000D0  00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00  ................
000000E0  00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00  ................
000000F0  00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00  ................
00000100  00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00  ................
00000110  00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00  ................
00000120  00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00  ................
00000130  00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00  ................
00000140  00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00  ................
00000150  00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00  ................
00000160  00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00  ................
00000170  00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00  ................
00000180  00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00  ................
00000190  00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00  ................
000001A0  00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00  ................
000001B0  00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 01  ................
000001C0  08 00 06 07 60 DB 27 00 00 00 D9 DB 01 00 00 00  ....`.'.........
000001D0  00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00  ................
000001E0  00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00  ................
000001F0  00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 55 AA  ..............U.

---- File system status ------------------------------------------

FAT type = 2
Bytes/Cluster = 1024
Number of FATs = 2
Root DIR entries = 512
Sectors/FAT = 237
Number of clusters = 60655
FAT start (lba) = 40
DIR start (lba,clustor) = 514
Data start (lba) = 546

1 files, 30 bytes.
0 folders.
60655 KB total disk space.
60654 KB available.

**** Remove memory card ****

**********

　フレッシャーズ特集第4弾｢ARMマイコン基板をとことん使いこなそう！｣が発売されました

特集関連のリンク

・Interface2009年6月号　目次
>>　http://www.kumikomi.net/interface/contents/200906.php
・購入はこちらから
>>　http://shop.cqpub.co.jp/hanbai/books/MIF/MIF200906.html
・特集掲載サンプル・プログラムのダウンロード
>>　http://www.cqpub.co.jp/interface/download/contents.htm
・拡張ベースボードCQBB-ELの入手先
>>　http://www.wakamatsu-net.com/cgibin/biz/pageshousai.cgi?code=38230043&CATE=3823
・LAN＆SDカード・ソケット拡張子基板の入手先
>>　http://www.wakamatsu-net.com/cgibin/biz/pageshousai.cgi?code=38230049&CATE=3823
・第1章紹介 LPC2000 Baudrate Calculator入手先
>> http://www.standardics.nxp.com/support/documents/microcontrollers/xls/lpc2000.uart.baudrate.calculator.xls
・第5章紹介 LPC23xxシリーズ用USB Host Lite入手先
>>　http://www.standardics.nxp.com/support/software/usb.host.msc/
・第6章紹介 μNet3/Compactの評価版入手先
>>　http://www.eforce.co.jp/onechip/net3_compact.html

　お待たせしました　6月号の特集関連のダウンロード・データをUPしました
　InterfaceのWebページの右側にある｢ダウンロード｣のページより，関連プログラムがダウンロード可能です．

第1章　UARTコントローラの使い方
　　　　　サンプル・プログラム
　　　　　VPA用UARTターミナル・プログラム

第3章 　FATファイル・システムの構築と有機ELディスプレイの接続
　　　　　FATファイル・システム実装サンプル・プログラム

第4章 　USBターゲット・コントローラの使い方
　　　　　オリジナル仕様USBターゲット・サンプル・プログラム

第5章 　USBホスト・コントローラの使い方
　　　　　USBメモリへのWAVEファイル録音再生サンプル・プログラム

Appendix 　ネットワーク・テスト用サンプル・プログラムの使い方
　　　　ネットワーク・テスト用サンプル・プログラム

ARP要求/応答＆PING要求/応答などのテスト・プログラム

　6月号の発売に先行して，付属ARMマイコン基板とLAN＆SDカード・ソケット拡張子基板を組み合わせた状態で使用できる，Ethernetテスト・プログラムを用意しました．ARP要求/応答やPING要求/応答，さらにはテスト用パケットの送受信などネットワーク通信のテストが可能です．Interfaceのダウンロード・コーナの2009年6月号分に先行アップロードしました．

　アーカイブを解凍して生成される netsmp_ping.hex を付属ARMマイコンに書き込んでください．また下記写真のように，付属ARMマイコン基板とLAN＆SDカード・ソケット拡張子基板を接続してください．

　操作にはCN5に繋いだ仮想COMポートをターミナルとして使用します．通信速度は115200bps，データ長8ビット，ストップビット1ビット，パリティなし，フロー制御なしの設定でターミナルを起動します．ターミナルの起動画面は次のようになります．

　本プログラムの操作方法は次のターミナルのログ表示を参照してください．

　なお，本サンプル・プログラムはMACアドレスとしてテスト的に 12-34-56-78-9A-BC を設定しています．LAN＆SDカード・ソケット拡張子基板を購入すると，その基板それぞれに固有のMACアドレスが割り当てられているので，その値を nic_lpc23xx.c の26行目に設定し，プログラムをビルドし直してください．

/* 設定MACアドレス定義 */
const UBYTE MAC_BUFF[]={ 0x12, 0x34, 0x56, 0x78, 0x9A, 0xBC };

フレッシャーズ特集第4弾｢ARMマイコン基板をとことん使いこなそう！｣の目次を先行して公開です

付属ARMマイコン基板の使いこなしは，これでばっちりです

目次

先月号では付属ARMマイコン基板搭載のLPC2388の基本的な使い方について解説した．

今月号はその応用編として，より実用度の高い各種システムの製作事例について解説する．

まずはCPU内蔵のSD/MMCカード・コントローラを活用し，汎用I/Oに小型液晶表示器を接続したオリジナルのモバイル機器を作る．USB関連としては，ARMマイコン基板をUSB周辺機器として使う事例や，逆にARMマイコン基板にUSBメモリを接続してWAVEファイルを録音再生するシステムを実現する．

そしてEthernetコントローラを活用したPINGテスト・プログラムや，ITRON系OSとTCP/IPプロトコル・スタックを移植してネットワーク対応機器も実現できる．

ご期待ください

『LAN＆SDカード・ソケット拡張子基板』回路図先行公開

　6月号で詳細解説予定の『LAN＆SDカード・ソケット拡張子基板』の回路図を6月号発売に先行して公開します．

>>　『LAN＆SDカード・ソケット拡張子基板』回路図

　本拡張カードは若松通商から購入可能です．
>>　http://www.wakamatsu-net.com/cgibin/biz/pageshousai.cgi?code=38230049&CATE=3823

LPC2388内蔵UARTを使ったシリアル通信プログラム

　6月号（4月25日発売）の発売に先行して，ご要望の多いLPC2388内蔵UARTを使ったシリアル通信プログラムを公開します．IAR評価版で作成した，ポーリング版と割り込み版の2種類を用意しました．

　なお，このシリアル通信プログラムはVPA上でも動作します．その場合に使用する，VPA用UARTターミナル・プログラムも公開します．

　Interfaceのダウンロード・コーナからダウンロードしてください

　ARM用gccやそのサンプル・プログラムだけでなく，コンパイル環境セットアップの方法についての説明が欲しいという声がありましたので，簡単ですが解説ページを作りました

>> Cygwinのインストール方法

>> GCCのセットアップと使い方

どうぞ参考にしてください