ここではARM用gccのインストールおよび使い方について解説します。
gccのインストール
Interface2008年11月号特集「ARMプロセッサ・ボードの設計と開発」の『第5章 Thumb-2対応GCCクロス開発環境の構築』で紹介しているARM用gccのセットアップ方法について説明します。Interfaceのダウンロード・コーナからアーカイブ・ファイルをダウンロードしてください。
Interfaceのダウンロード・コーナ
2008年11月号
第5章 Thumb-2対応GCCクロス開発環境の構築
コンパイラ&デバッガ ←これ
アーカイブファイルは arm-tools-new-20080625.tar.bz2 です。このアーカイブファイルを、Cygwinの/usr/localにコピーします。デフォルトの設定でCygwinをインストールした場合は、C:\Cygwin というディレクトリが作成されているので、実際にコピーする先は、C:\Cygwin\usr\local\ となります。Windows上から、通常の手順でアーカイブファイルをコピーしてかまいません。
[図1] アーカイブファイルをCygwinの/usr/localにコピー
次にCygwinを起動します。スタートメニューから「プログラム」→「Cygwin」→「Cygwin Bash Shell」を起動するか、図2に示すデスクトップに作成したショートカットでCygwinを起動してください。
[図2] Cygwin起動ショートカットアイコン
[図3] Cygwinの起動
Cygwinが起動したら、先ほどアーカイブファイルをコピーしたディレクトリに移動します。
$ cd /usr/local[リターン]
Cygwinをインストールしたディレクトリ(C:\Cygwin\)がルートに相当するので、Cygwinのコマンドシェルで指定する絶対PATHには、“Cygwin”を指定する必要はありません。またPATHの区切りは'/'で指定します。
そしてコピーしたアーカイブファイルを解凍します。ARM用gccのアーカイブファイルは arm-tools-new-20080625.tar.bz2 です。アーカイブを解凍するには、
$ tar jxvf arm-tools-new-20080625.tar.bz2[リターン]
と指定します。
[図4] ARM用gccの解凍
アーカイブファイルの解凍作業が終われば、gccのインストールは終了です。
gccの使い方
まずはCygwinを起動します。スタートメニューから「プログラム」→「Cygwin」→「Cygwin Bash Shell」を起動するか、図2に示すデスクトップに作成したショートカットでCygwinを起動してください。
このままでは各種CPU用gccにPATHが通っていないので、次のコマンドでPATHを通しておきます。
・ARM用設定
$ export PATH=/usr/local/arm-tools/bin:$PATH[リターン]
各サンプルプログラムは、各ユーザのhomeディレクトリなどにコピーしてください。図5の例では、Windowsのログインユーザ名がInterなので、C:\Cygwin\home\Inter がhomeディレクトリになります。ここにサンプルプログラムをコピーします。
[図5] サンプルプログラムのコピー先
各サンプルプログラムにはMakefileも添付しているので、それぞれのサンプルプログラムを収録したディレクトリに移動して、
$ make[リターン] を実行すれば、コンパイルが始まります。通常はタイムスタンプをチェックして変更のあったソースファイルについてのみコンパイルが行われますが、全体をはじめからコンパイルしたい場合は、
$ make clean[リターン] として、.oファイルなどをいったん削除してからmakeを実行してください。
[図6] gccによるコンパイルのようす
あとは生成されたインテルhexファイルを、FlashMagicでCPU内蔵フラッシュROMに書き込んでください。