Show report


Interfaceロゴ
Interface最新号

Internet World Spring 2001

Show report目次へ
Interfaceトップページへ

 インターネット関連のトレードショーが,カリフォルニア州Los AngelesのLos Angeles Convention Center(以下,LACCと略)で,3/12〜16(展示会は,3/14〜16)まで開催された.インターネットの時代と言われて久しい今日この頃,インターネット関連の商品をわざわざショーへ出かけて行って見る必要もないと思われるかもしれないが,開発担当者と直接話せる機会でもあるので,散歩がてら飛行機で1時間のLos Angelesに足を運んでみた.

Los Angeles Convention Centerの外観

Los Angeles Convention Centerの外観

● 世界最小のプリンタサーバ

Castelleの世界最小のプリンタサーバ,LANpress Jr.

Castelleの世界最小のプリンタサーバ,LANpress Jr.

 Castelle(http://www.castelle.com/)は,超小型プリンタサーバLANpress Jr. 10/100を展示していた.写真で比較してもらうとより明瞭になると思うが,展示会で無料で配布しているボールペンよりも小さいサーバである.10/100 Base-Tに対応して,自動認識する.対応しているOSは,NetWare 3.x/4.x/5.x,Windows 95/98,Windows NT/2000,Windows 3.1/DOS,各種UNIX,Macintoshと市販されているOSは,問題がなく使用できるようになっている.小さいながらも,TCP/IP,DHCP,NetBEUI,IPX/SPX,NDS(Novell Directory Service),NetWare bindery,AppleTalkのプロトコルに対応している.簡単な設定ツールが付属しているので,設定も簡単.価格は,$199と普通のプリンタサーバと比較しても安価である.市場価格は,$160前後とのこと.このプリンタサーバは,HPのJet-Adminというプリンタサーバを管理するツールに対応しているのも嬉しい.

● 各国語に対応したドメインが使用できる

WalidのWALID WORLDClasss Solutions(中国語ドメインを入力語表示)

WalidのWALID WORLDClasss Solutions(中国語ドメインを入力語表示)

 特定のISPや,ドメインを管理している会社を使用しなくても,各国語に対応したドメインを使用できるプラグインが登場した.Walid(http://www.walid.com/)の提供するWALID WORLDClass Solutionsは,従来のマルチリンガル・ドメイン名の考え方をより簡単にする.基本的にドメイン名は,RFC(Request For Comments)というインターネットでの約束事を取り決めた資料によると,英語しか使用できないことになっている.これを,ブラウザのアドレスを入力する欄に,日本語,中国語,韓国語,アラビア語,どんな国の言葉であれ入力すれば,登録してあるホームページにアクセスできるというものだ.実際の処理は,Walidが提供するプラグインがブラウザとTCP/IPスタックの間で,各国語ドメインと実際の英語のドメインの変換を行う.ユーザー側は,各国語ドメインのまま,ウェブサーフィンが楽しめる.リダイレクションするわけではないので,ウェブの深いところへ行っても,各国語ドメインがブラウザ上に表示される.ブラウザは,Internet Explorer,Netscape Navigator等,何でも使用できる.履歴の機能を持つブラウザなら,履歴内のURLも入力された,各国語ドメインのままである.このプラグインは無料で提供される.

● 3Dウェブブラウザ

2ceのCubicEye

2ceのCubicEye

 2ce(http://www.2ce.com/)は,3Dウェブブラウザ,CubicEyeを発表した.これは,都合5つのページを同時に表示できるものだ.5つのうちの1つをズームインして1つだけ表示することもできる.IEのコンポーネントを使用しているので,IEで表示できるページは全て表示できる.実際に,日本語,韓国語,中国語,英語のページを同時に表示させたところ,全て正常に表示された.これでタブ切り替えのウェブブラウザを使用する必要がなくなる.いくつものブラウザを立ち上げると,常にシステムリソースとの戦いになり,挙句の果てにはコンピュータの再起動を余儀なくされることがある.CubicEyeを使用すれば,コンポーネントとして使用しているので,使用するリソースの量も小さく,リソースの悩みから開放されるかもしれない.筆者がこの原稿を書いている時点では,βテスト中である.

● IntranetBrain

TheBrain TechnologiesのIntranetBrain

TheBrain TechnologiesのIntranetBrain

 誰でも,ハードディスクの容量が少なくなってくると,中身を整理しようと考えるものだ.昨今の急激なハードウェアの進歩により,ノートブックでも,20Gバイトクラスのものを搭載していることも稀ではない.デスクトップ型のPCにおいては,80Gバイトなどというものもザラである.まして,イントラネットのネットワーク上の情報を整理して,簡単に検索できないものかと考えると頭が痛い.そこでTheBrain Technologies(http://www.thebrain.com/)は,イントラネット上の情報を簡単に整理して検索できるツール,IntranetBrainを発表した.これは,PersonalBrainというスタンドアローン型の情報整理ツールをイントラネットに広げたものである.クモの巣を連想させるナビゲーションバーで,必要な情報を絞り込んで検索することが可能である.キーワードは自由に指定できる.既に韓国語のサイト(http://www.netian.com/)で,このIntranetBrainと同等の機能を持ったWebBrainが動作していた.こちらはインターネット版で,ホームページを訪れた人が自由に検索して,情報を引き出せるようになっている.価格は,InternetBrainが$295以上,PersonalBrainが$49.95.

*      *

 今回は,会場を,LACCのSouth HallとWest Hallの一部しか使用していなかった.それだけ,新商品の数が少なくなったのではなく,米国も景気が悪いせいか,高額な会場使用料を払うまでも無く,より安価な,インターネット上で展示する方を選択した企業が多くなって来たのかもしれない.一頃は,単独で,LACCの全てのHallを使用していたInternet Worldも,昨今のインターネットの時代には,必要なくなってしまったのだろうか.San Jose Convention Centerで開催されていた頃が妙に懐かしく感じられた.日本人の姿も会場ではあまり見かけられなかった.来年のInternet Worldはどうなってしまうのだろうか.春めいたカリフォルニアの大都会の一隅で,そう考えるのは筆者だけであろうか.


Copyright 1997-2001 Tiffany

Show report目次へ
Interfaceトップページへ

Copyright 1997-2024 CQ Publishing Co.,Ltd.

New

Engineering Life in Silicon Valley 第79回 フリー・エンジニアという仕事(第一部)
移り気な情報工学 第36回 時代間通信アーキテクチャ
フリーソフトウェア徹底活用講座 第14回 GCC2.95から追加変更のあったオプションの補足と検証(その3)

Back Number

フリーソフトウェア徹底活用講座
第13回 続々・GCC2.95から追加変更のあったオプションの補足と検証
第12回 続・GCC2.95から追加変更のあったオプションの補足と検証
第11回 GCC2.95から追加変更のあったオプションの補足と検証
第10回 続・C99規格についての説明と検証
第9回 C99規格についての説明と検証
第8回 C言語におけるGCCの拡張機能(3)
第7回 C言語におけるGCCの拡張機能(2)
第6回 GCCのインストールとC言語におけるGCCの拡張機能
第5回 続・C言語をコンパイルする際に指定するオプション
第4回 C言語をコンパイルする際に指定するオプション
第3回 GCCのC言語最適化以外のオプション
第2回 GCCの最適化オプション ――Cとアセンブラの比較
第1回 GCCの最適化オプション

移り気な情報工学
第36回 ITもの作りの原点
第35回 ビットの化石
第34回 ユビキタスなエネルギー
第33回 ロゼッタストーンとWWW
第32回 情報家電のリテラシー
第31回 草の根グリッドの心理学
第30回 自分自身を語るオブジェクト指向「物」
第29回 電子キットから始まるエレクトロニクス
第28回 映画に見る,できそうでできないIT
第27回 ITも歴史を学ぶ時代
第26回 1テラバイトで作る完全なる記憶
第25回 日本はそんなにIT環境の悪い国なのか
第24回 10年後にも生きている技術の法則
第23回 ITなギズモ
第22回 ブロードバンドネットワークに関する三つの質問

Engineering Life in Silicon Valley
第78回 インドに流れ出るシリコンバレーエンジニアの仕事
第77回 エンジニア達の健康管理・健康への努力(第二部)
第76回 エンジニア達の健康管理・なぜエンジニア達は太る?(第一部)
第75回 ユーザーインターフェースのスペシャリスト(第二部)
第74回 ユーザーインターフェースのスペシャリスト(第一部)
第73回 放浪の旅を経てエンジニアに……
第72回 凄腕女性エンジニアリングマネージャ(第二部)
第71回 凄腕女性エンジニアリングマネージャ(第一部)
第70回 ビジネススキルを修行しながらエンジニアを続ける
第69回 専門分野の第一線で活躍するエンジニア
第68回 シリコンバレーに夫婦で出向(第二部)
第67回 シリコンバレーに夫婦で出向(第一部)
第66回 目に見えないシリコンバレーの成功要因
第65回 起業・独立のステップ
第64回 インターネットバブルの前と後の比較
第63回 日本でシリコンバレースタートアップを体験する(第四部)
第62回 日本でシリコンバレースタートアップを体験する(第三部)
第61回 日本でシリコンバレースタートアップを体験する(第二部)
第60回 日本でシリコンバレースタートアップを体験する(第一部)

フジワラヒロタツの現場検証
第72回 現場検証,最後の挨拶
第71回 マイブーム
第70回 OSぼやき放談
第69回 技術者生存戦略
第68回 読書案内(2)
第67回 周期
第66回 歳を重ねるということ
第65回 雑誌いろいろ
第64回 となりの芝生は
第63回 夏休み
第62回 雑用三昧
第61回 ドリームウェア
第60回 再び人月の神話
第59回 300回目の昔語り
第58回 温泉紀行
第57回 人材ジャンク
第56回 知らない強さ
第55回 プレゼン現場にて