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COMDEX Chicago 2001

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 今春のCOMDEXは,米国の五大湖ミシガン湖のほとり,ChicagoのMcCormick Place(以下MPと略)で4/2〜5(展示会は,4/3〜5)まで開催された.毎年春のCOMDEXはWindows Worldと併設されていることから,私も興味津々でまだ時折雪の降る街へと出かけていった.

McCormick Placeの外観の写真

McCormick Placeの外観

● 手のひらサイズのビデオレコーダ

NSU LexingtonのQUICKPIX QP-2の写真

NSU LexingtonのQUICKPIX QP-2

 NSU Lexington(http://www.GlobalNSU.com/)は,手のひらサイズのビデオレコーダ,QUICKPIX QP-2を発表していた.手のひらにちょうど収まる大きさで,単なるビデオカメラとしてはもちろん,デジタルスチルカメラとしても使用することができる.連写機能を持ち,VGA(640×480)なら3fps,QVGA(320×240)なら9fpsの速度で,10秒から15秒間程度撮影することが可能である.まるで007のスパイ映画で使われるような,軽量多機能で小型な携帯機器の誕生である.PCとUSBで接続し,録画した画像の再生/転送をすることができる.価格は$119.95.

● Linux上でWindowsのアプリを

 Netraverse(http://www.netraverse.com/)は,Windows上のアプリケーションをLinux上で動作させるツール,Win4Lin 3.0を展示していた.本製品は最新のLinuxカーネル2.4.xに対応している.LinuxとWindowsを同時に使いたい人向けである.Windowsをインストールしていないと使用できないが,LILOなどのブートマネージャを使用してOSを切り替える必要がなくなる点が便利である.この手のツールではVMware(http://www.VMware.com/)が有名だが,処理速度の面ではWin4Linの方が優っているし,Win4Linの方が必要なメモリがはるかに少ない.VMwareは,OSひとつあたり,最低128MB必要であるが,Win4Linは,64MBで動作するようになっている.残念なことに,ヨーロッパ言語のみの対応で,アジア圏の言語には未対応である.価格はマニュアルなしが$59.99,マニュアル付きが$89.99.

● コンパクトなワイヤレスキーボード

Visual Industrial TechnologyのUniConの写真

Visual Industrial TechnologyのUniCon

 折りたたみ式で,まるで携帯電話のようなワイヤレスキーボード,UniConを発表していたのは,Visual Industrail Technology(http://www.vit2000.com/).キートップが若干小さ目だが,そのぶんコンパクトなので,モバイルユーザーに最適だ.ワイヤレスなのでPCと接続する必要もない.マウスの替わりのトラックボールも搭載されているので,一石二鳥である.単4電池2個で6ヶ月使用可能である.Windows 95/98/2000に対応し,価格は$27.2001年6月から販売予定.

● ディジタルワイヤレスヘッドセット

BluetoothKoreaのFREE@ll2000の写真

BluetoothKoreaのFREE@ll2000

 BluetoothKorea(http://www.free-all.com/)は,ワイヤレスのディジタルヘッドセット,FREE@ll2000を発表していた.小型軽量の耳かけ方式ヘッドセットで,アナログではなく,ディジタル伝送なので音質がよい.電池の寿命は,連続使用で240分.携帯電話にも使用可能である.コードレスなので,PCと接続してインターネット電話や音楽を聞くことにも適している.マイクロフォン付きということで,どちらかと言うと語学の学習向けかもしれない.価格は$125.

● 携帯機器向けWebページを作成するエディタ

uniwisのMobile Studioの写真

uniwisのMobile Studio

 uniwis(http://www.uniwis.com/)は,携帯電話機器向けのWebページエディタ,Mobile Studioを発表していた.WML,HDML,mHTML,cHTML,sHTMLをタブを切り替えることによって同時に編集することが可能である.通常のWebページエディタのように,リンクを視覚的に平易に編集することができる.開発担当者の話によると,通常のHTMLを変換するツールを標準搭載しており,ユーザーは既存のWebページを読み込んで出力するだけで,各携帯機器向けのWebページを構築することができる.i-mode対応ページも編集することが可能である.2001年4月頃から発売予定.

● Linuxを使用した携帯端末

Hacker & PackersのmiWebの写真

Hacker & PackersのmiWeb

 Hacker&Packers(http://hpackers.com/)は,Embedded Linuxを利用した,A5サイズ大の携帯端末,miWebを発表した.Windows CEの端末と比較すると,大きさや重量の面で劣っているものの,LinuxをOSに採用していることから,簡単にアプリを作成したり,移植することが可能だ.USBを搭載しているので,ディジタルカメラやGPSのモジュールなどを容易に扱うことができる.Bluetoothと互換性があるので,ワイヤレスLANの端末としても使用可能である.この大きさでありながらSVGAに対応していることも見逃せない.価格は$700.

● 新しい形のマーケティングツール

 Cionsoft(http://www.cionsoft.com/)は,マーケティングツールCion Cardを発表した.これは基本的にはICQ,MSN Messenger,Yahooメッセンジャー,AOLインスタントメッセンジャーのような,コミュニケーションツールである.インターネット電話の機能もあるし,ファイルの交換もできる.違うのは,スポンサーの広告を入れることにより,広告を見ている間は無料で使用できるということだ.

 また,Cion MP3という製品もあり,100回MP3をダウンロードすると,CDが1枚無料になるプロモーションをレコード会社と提携して行っている.MP3Mailという機能を使うとMP3ファイルを添付して友人にメールを送ることができ,送られた友人が将来のセールスのリードになるというものだ.なお,MP3ファイルはプロモーションを行う会社が用意する.今までの無差別メールよりも確実なマーケティング手法が,インターネットの世界でも始まったようだ.

*      *

 今回は,展示会場としてMPのホールB1のみを使用したため,とても小さい規模のトレードショーになった.当然Windows Worldも併設されておらず,しかも驚くべきことにMicrosoftが出展していなかった.反対側のホールで開催されていたリサイクル関連のトレードショーが盛況だったのと比較して,長年COMDEXを視察してきたトレードショーウォッチャーとしては,何とも寂しい限りである.その中でも珍しいことに,韓国だけは韓国だけのパビリオンを構えていて,その数20社余りが固まって出展していた.やはりお隣の国,韓国は経済が低迷しているとはいえ,外向きに打って出る政策を取っているのだろう.日本の企業も見習って欲しいものである.日本人の参加者も,米国のど真ん中で開催されている関係からか,それともIBM(COMDEXから撤退をして久しい)やMicrosoftといった巨人が参加しないためか,あまり見かけなかった.来年の春のCOMDEXは開催されるのだろうか.ふと,そんな心配が頭をかすめたのは,何も筆者ひとりだけではないだろう.そんな思いを胸に,アル・カポネの街Chicagoを後にした.


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