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PC EXPO 2001

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Jacob Javits Center

Jacob Javits Center

 米国東海岸で毎年開催されている米国東海岸で最大のコンピュータ関連のトレードショーPC EXPOは,6/25〜28(展示会は,6/26〜28)まで,ニューヨークのJacob Javits Centerで開催された.

 今年から,PC EXPOという名前だけでなく,TECHXNY(Technology Exchange Week New York)という名前も掲げて大体的に宣伝をしていた.

● 携帯電話付きのPDA

PC-EPhone

PC-EPhone

 PDAに携帯電話がくっついて小型化されたのか,携帯電話に小型のコンピュータを装備したのか,その発想がよくわからないのが,PC-EPhone(http://www.pc-ephone.com/)という製品である.手のひらより少し大き目で,携帯電話とWindows CE 3.0をインストールしたPCが一体化されている.画面はVGA 4インチ,256色のTFT.32MバイトのRAM,22Mバイトのフラッシュメモリを標準装備している.コンパクトフラッシュを使用することができるので,外部記憶媒体としてマイクロディスクドライブを使用できる.携帯電話はcdmaOneなので,日本/韓国/米国で,一つの電話番号で連絡を取ることができる.出荷予定は2001年9月.予想価格は$1,000前後.

● マウスいらずのキーボード

Access TechnologyのMouse Trapper

Access TechnologyのMouse Trapper

 普通はトラックボールのようなものが,キーボードのテンキーの位置に置かれているものを想像するかもしれない.しかし,Access Technology(http://www.mousetrappers.com/)のMouse Trapperは,キーボードの下方にある,アームレストと呼ばれる腕を休ませるためのアクセサリの中に物理的なローラーを使用して,マウスパッドのいらない,マウスもどきを展示していた.マウスを台の上に載せ,ローラーの動作に合わせてマウスの裏面のボールを擦ることでマウス操作を行っている.マウスが必要だが,直接マウスにさわる必要はない.実際に筆者が使用した感想は,マウスの使用による肩こりから開放されると思われるほどの軽快さで,立派に役割を果たしていた.価格は,マイクロソフトのMS Mouse付きが$139,単体では$109.一度この製品を使用したら,病み付きになるだろう.

● Palm用の開発環境

 Palm用の開発環境といえば,C/C++を使用するCode Worrierが有名だが,AppForge(http://www.appforge.com/)が展示していたAppForgeを使用すれば,マイクロソフトのVisualBasic 6(以下VB)上で開発,デバッグが可能になる.この製品はVBのアドインソフトとして動作する.ブースにいた担当者は経営関係の専門家だったが,自分でVBを使用して作成した経営分析のソフトをPalmIII上で動作させ,1日もかけずに作成できたと自慢していた.プログラムのデバッグもVB上で可能で,PDA用の専門のエミュレータなどを必要としない.

 日本語環境での使用について,Unicode互換のVBなら英語版をそのまま使用しても問題はないようである.というのは,Code WorrierはASCIIを使用しているので,実際問題として日本語を使用する場合,英語版を一度インストールしてから日本語版のパッチを当てるといった,不自然なインストールを行って日本語を使用できるようにする必要があったためだ.

 現状のWindowsのアプリケーションをPDA上で動作させるマイグレーションツールとして使用できるかというと,Win32のエンジンはもっているものの,VB用に販売されている多くのサードパーティのライブラリとの互換性がないため,簡単には移植できないということだった.価格は,Personal版が$69,Standard版が$299,Professional版が$695.作成されたプログラムに組み込まれるランタイムは,Standard版以上を購入しないと無料で配布できない.

● NIC付きの超小型コンピュータ

Acqis Technologyの携帯用超小型コンピュータ

Acqis Technologyの携帯用超小型コンピュータ

 Acqis Technology(http://www.acqis.com/)は,NIC付きの携帯用超小型コンピュータを発表していた.小型の外付けハードディスクを持ち運ぶ感覚で,コンピュータそのものを移動できる.大きさは203×133×17.75mmと,ノートPCの外付けフロッピードライブの大きさとたいして変わらない.重さは453g.Mobile Celeron-600MHzかPentium III-700MHzのCPU,PC100SDRAM-64Mバイト(256Mバイトまで拡張可能),6/10/20GバイトのHDD,10/100Base NIC,3D AGP 4Mバイト,Advanced 3D audio Processorと,デスクトップなみの性能をもつ.

 Windows Me/NT 4.0/2000/XP,Linuxがインストール可能で,日本語版Windowsも使用可能.ドッキングステーションには,ミニタワー型,デスクトップ型があり,前面からフロッピーディスクを挿入する感覚で本体を格納する.ドッキングステーションの価格は,$200〜400.本体はMobile Celeron-600MHz,RAM128Mバイト,HDD 10Gバイトのモデルで,$875.10.4インチのタッチスクリーンを備えた,ノートブックタイプのドッキングステーションは,2002年第1四半期に出荷予定.

*      *

 相変わらず元気なのはPDAのパビリオンで,PalmもHandspringも,向かいあわせでお互いの利便性や拡張性を宣伝していた.両社とも先頃,大量のリストラで多くの従業員を解雇したにも関わらず,トレードショーでの鼻息が荒いのはどうしたことか.また,相変わらず韓国パビリオンは単独で国別パビリオンを展示していた.

 台湾で開催されたComputexで話題になっていた,どこが最初に安定したUSB2.0のクライアント(ドライバ)を書くかという競争は,どうやら米国に軍配が上がりそうな気配である.参考出品ながらも,USB2.0用の製品が各種OS用のドライバ付きで発表されていた.一時の勢いはなくなったものの,はるばる東海岸まで来たかいがあって,多くの興味深い製品がところ狭しと会場を埋めていた.ただ時代の流れなのだろう,展示会場の規模は年々小さくなってきている.来年は開催されるのだろうかと少々危ぶみながら,会場を後にした.


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