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赴任地メケレでの生活

ラクダの隊商が塩を運び込んで栄えたメケレ
 今回は私が住んでいたメケレを紹介します.
 メケレ市は,エチオピアの中でも北部に位置します(「裏・エチオピア通信 第1回」の図1-1 エチオピアの地理のイメージで紹介).この地方はティグレ地方と呼ばれます.


 メケレの東側には有名な「ダナキル砂漠」があります.
 今まで私は「エチオピアは高地にあるので涼しいよ.」といっていましたが,ダナキル砂漠は海抜マイナス100mなのでものすごく熱いらしい.
 そこからは貴重な「塩」が取れ,その塩の固まりがラクダによって運び込まれる地がメケレです(写真3-1).

 土曜日の早朝にラクダの群が隊商のごとくオールド・マーケットに集まるというので何回か行ってみましたが,見ることはできませんでした(写真3-2写真3-3).


写真3-1 コンクリート板のような「塩」
10cm角の小さいのが13円。大きいのが260円.このほかに血のように赤色に輝く塩を見たことがある.昔は王様御用達で一般人は食せなかった.薬効があるといわれる貴重品だ.



写真3-2 オールド・マーケットのようす
色鮮やかな布類が多く売られている.ここには鍋・釜・片方の靴など何でも売っているが買うような物はない.怪しげな乾物があるので聞いたらおばさんがジェスチャで教えてくれた.「元気がでる」らしい.



写真3-3 ラクダの行列
自宅付近で撮影.間近で見るとでかいのに驚く.しゃがんでいた後に立ち上がると山が動くような気がする.


 写真3-4は,赴任当初住居が見つからず3カ月過ごした高級ホテル「アクスム・ホテル」の外観です.このホテルの一部は国連の事務所になっています.

 ホテル近くのカフェでカメラを取り出すとオーナと娘が即自宅に帰って正装に着替えてきたことがありました.金の装飾品は高価で富の象徴です.彼女たちの浅黒い肌色に実に良くマッチして美しい(写真3-5).



写真3-4 赴任当初滞在したアクスム・ホテルの外観
素泊まり1泊外国人料金2600円だが,私は長期滞在で1300円.ここでアメーバ赤痢と戦った苦しい日々を思い出す.レストランの食事が脂っこくて合わず,ついに厨房を借りてラーメンを作ったのが良かった.



写真3-5 ティグレの女性の正装
特徴は頭髪で,額や目尻に傷を付けている女性が多い.魔よけ・病気よけらしい.


国境の内も外も戦争の歴史あり
 歴史的には,メケレのある北部ティグレ地方を含めて,ティグレ族の住む範囲は大変広く遠く,北にスーダンや東にエリトリアをも含んでいたようです.国は違っても彼らはティグレ語を話し,現在の国境策定によってエリトリアに家族・親類縁者が別れて住んでいる人も多くいるそうです.

 平時は全く平穏なのですが,国境策定以前はメケレもエリトリア空軍によって爆撃された歴史があり,国連軍が常駐しています.


 またメケレを紹介するとき,一度はエチオピアの政治背景をお伝えしなくてはなりません.その理由は現政権の屋台骨はティグレ地方出身の人々が背負っているからです.

 私も詳しくないのですが,皇帝による帝政,軍部によるクーデタと政権が変わった後,ティグレ人民解放戦線(TPLF)が蜂起し今の国家を作り上げました.そのときの中心的メンバが現政権の要職を握っています.
 現メレス首相もそのときのメンバの一人でした.

 このようないきさつからメケレは政治的背景によって発展してきた経緯があり,そのときの戦勝記念モニュメントがあります.名は戦争博物館(写真3-6).



写真3-6 戦争博物館の記念塔


懐かしの日本製トランシーバを展示!
 戦争博物館は広大な敷地で囲まれていて主に3ブロックに別れています.


当時の戦闘に参加したTPLFのメンバの写真や戦闘に使用した銃器・トランシーバなど本物が展示されています.
当時戦闘に使われた戦車や装甲車・野砲などが屋外に展示というよりは置かれています(写真3-7).
驚くような立派なホールがあり国家の記念式典やイベントのときに使用されます(写真3-8).



写真3-7 野ざらしの戦車



写真3-8 記念塔から望むメケレの風景
見えていないが左側に立派なホールがある.


 展示場では,個人的には銃器より放送設備が興味を引きます.私が若いころに買えずに見たことがある物がたくさんあります(写真3-9).
 Nationalのハンディ・トランシーバは昔日本では27MHzシチズン・バンドだったと思います(写真3-10).



写真3-9 トリオ製トランシーバとエキサイタ
SSBで通信していたのかな?



写真3-10 松下電機製のハンディ・トランシーバ


 屋外には戦車や軍用トラックが雨ざらしに置かれています.これらは特別な整備されていないのでかなり汚れていますが,内部に入ることができます(写真3-11).



写真3-11 軍用トラック

 これらの兵器は恐らく全部外国から持ち込まれた物です.私の感覚では,エチオピアでは旋盤で歯車を切る歯切りもできそうにありません.他国で作られた物を死の商人が持ち込み国内で殺しあいになってしまうのですから,後味が悪い気持ちになります.


祇園ホテル?とスタバ本店?
 戦争博物館見学の後は「ユルダノス」という最高レストランに行きます.店内はこぎれいで,メインはイタリアンなのでパスタやワインがおいしい.アイスクリームもある.
 もちろん国民食のインジェラもおいしく,ユルダノスで食事をした後に体調を壊したことはありません.

 ユルダノスからチョット丘を登ったところにアブラカステル・ホテルがあります.町が一望でき最高のロケーションで,首都アディスにある国営「ギオン(祇園か?)ホテル」の系列です(写真3-12).
 そのため設備は古く快適とは行かないようですが別棟の伝統的アビシャ・レストランは趣があります(写真3-13).



写真3-12 アブラカステル・ホテルの入り口



写真3-13 アブラカステル・ホテルの伝統的レストラン


 またメケレにはスターバックスというカフェがあり,一瞬驚きます.物珍しさで入るとそれなりの雰囲気を醸し出しています(写真3-14).
 しかしコーヒの味はこちらの方が断然うまい。日本のスタバでも「キャラメルマキアート」が飲めますが,これはエチオピアのまねという感じです.本物はもっと濃く,甘い中にも苦みが強い.機会があれば一度お試しあれ.



写真3-14 エチオピアのスタバ本店?

 

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