少し話題を変えますが,こちらに来られた頃の苦労話とかありますか?こちらの生活に慣れなかったとか…? |
う〜ん,やっぱり言葉にいちばん苦しみましたね.言葉ができないと意志疎通ができず,いろいろなトラブルに巻き込まれる可能性があります.これがどんどん自分の行動範囲を狭めていく. |
よくあることですが,言葉ができないと皆がやりたがらない仕事をどんどん押し付けられる.とくに日本人や東洋人は黙って仕事することが美徳だと思っているから,ついつけこまれる.
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私は,英語をしゃべることが歯医者に行く感じでしたね.始めの頃は,まわりの会話にまったくついていけませんでした.それでスラスラ英語をしゃべる人のところには,同じように賢いエンジニアが集まるわけです.こういう場で新しいアイデアの交換やエンジニアとしての存在感を確認していたのだと思います. |
こちらの教育では表現力がすごく重視されます.
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私はある時期,日本の企業の担当者として勤めていました.アメリカ人の秘書を雇いましたが,すぐ辞めてしまいました.給料も環境も悪くなかったはずです.私が思うには,まわりにまともに英語をしゃべる人がいなかったので,それが苦痛だったのでしょう. |
それで結局いつ慣れました?猛勉強とか?
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勉強の余裕はまったくありませんでした.初めて入った会社で6ヵ月後にレイオフがあったとき,やっと開き直れました.そういう意味で英会話は,技術でなくて性格や度胸だと思っています.私が知っている海外のエンジニアーーロシア人,中国人,ベトナム人とかは,みんな英会話教室など行ってませんね.せいぜい基本的なことをちょっと覚えて,あとはこちらに来てから度胸で覚えているようです. |
たしかに議論をしたり,プレゼンテーションをしたり,プロポーザルを書くといった能力は英語力の問題にも見えますが,本質は表現力ですね.そういう意味で,性格などが結果的にシリコンバレーで通用する英会話力に影響すると思います. |