さて,税金計算の内容だが,ここから日米の大きな違いがある.アメリカではシナリオが何通りも用意されており,自分にもっとも合った形で計算をすることになる.ようするに選択肢が多いわけだ.たとえば,夫婦でも合算申告か個別申告か選べるし,控除項目も標準控除と項目別控除が選べる.多くの場合,項目別控除を選ぶことによって細かく控除額を調整できるので節税が可能である.また,シリコンバレーだとストックオプションを通じて自社株をもっていたりするので,それの申告のために必ず項目別控除をしなければならない場合がほとんどだ.
実際の項目だが,おもなものは以下のとおりである.
・医療費:調整後所得の7.5%を超える部分が控除可能.健康保険でカバーされない通院の交通費,コンタクトレンズ,眼鏡,精神科のセラピスト注4などもカバーされる
・州・市税:連邦税を計算するときに控除する
・不動産税:固定資産税になり,シリコンバレーの住宅市場からするとかなり大きい
・自動車税:自動車などの動産の価値に対して課税される
・その他の税:外国で払った所得税など.日本からの赴任だと住民税などが使える
・住宅ローン金利:ローンの金利部分,その年に払った分が100%控除される.これも大きい
・寄付金:公認団体への寄付.物品と現金の2種類がある
・損害:災害・東南の被害の合計が,調整後所得の10%以上になるとき
このほかにも引越し費用,失業中の求職に使った費用,会社から清算されなかったものの仕事に必要な費用,たとえばエンジニアだとIEEEなどの学会の会費,業界紙の購読料などの控除項目が設けられている.範囲が広くて目が回りそうだが,これらを理解すればするほど,どこでどれだけ節税できるのかが明確になる.
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