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マルチメディア関連機器が多く展示された

Comdex Korea 2001

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 Comdexというと,普通は米国で春と秋の2回開催されている世界最大のコンピュータのトレードショーを思い浮かべるが,今回は,筆者の仕事の関係もあって,韓国で8/23〜26までソウルの新興開発地区,江南にあるCOEX(写真1)で開催された,Comdex Korea 2001へ行く機会があったのでレポートしよう.COEXは,地下鉄の2号線の三成駅のすぐ近くにある韓国最大の総合展示場で,日本の幕張メッセを思い浮かべればいいと思う.もっとも大きさは幕張メッセの半分もないが…….

COEXの外観の写真

COEXの外観

●コンパクトなマルチメディアプレーヤ

MagiceyesのMKIVKIの写真

MagiceyesのMKIVKI

 Magiceyes(http://www.mesdigital.com/)は,マルチメディアプレーヤMKIVIKIを発表した.もともとMagiceyesは,マルチメディア関連のチップを開発している会社である.手のひらに収まる大きさでありながら,Audio CD,VCD,MP3の再生はもとより,小型カメラを使用して,静止画,動画を撮影/保存,音声を録音することが可能である.画面の大きさは,480×234ピクセル.80MHz MMSP-1というマルチメディア用のプロセッサを搭載している.64Mバイトのフラッシュメモリを搭載し,ファームウェアはアップグレード可能である.

 コンピュータとの接続には,USB 1.2,IrDA 1.1を使用できる.携帯用MDプレーヤやCDプレーヤが進化したものと思えばいいのかもしれない.予想価格は,日本円にして20,000円〜30,000円になる予定.

●MusicMatch JukeboxがVISORで動作する?

VISOR用のMusicMatch Jukeboxの写真

VISOR用のMusicMatch Jukebox

 MusicMatch Jukeboxといえば,日本では住友金属システムソリューションズ(http://www.smisoft.com/)から,MusicMacth MP3 Jukeboxとして,パッケージ販売されているだけではなく,メーカーのパソコンやノートブックにプレインストールされているMP3ソフトウェアである.そのプレーヤの部分をVISOR用に変更して,動作させている会社があった.リッピングと呼ばれる,実際のAudio CDから音楽をMP3に変換するところは,パソコンやノートブックに任せ,携帯用に作成したMP3をVISORに転送する方式を採用している.画面では,MusicMatchのロゴが表示されていた.実際には,VISORの背面の拡張部分に,うまく収まるように設計された拡張モジュール差し込む形を取っている.

●多言語ワードプロセッサ

 Haansoft(http://www.haansoft.com/)は,Windowsの言語環境に関係なく,韓国語,日本語,中国語,英語を使用可能にしたワードプロセッサを発表していた.アレアハングルミレニアムは,韓国語,日本語,中国語のIMEが内蔵されていて,多言語を混在させて一つの文書内で使用することが可能だ.キーボードの配列を変更して,独自の入力体系を作成し,使いやすいように設定できる.文章作成時に正確な単語の仕様を支援するために,Wordian辞典を使用することもできる.メールソフトも内蔵しているので,作成した文章をそのまま相手に送ることもできる.フォントは,韓国語×27,日本語×24,中国語×15,英語×20書体が同梱されている.

 対象OSは,Windows 95/98/Me/NT4.0 SP3以上/2000.メニュー,ダイアログボックス,ヘルプなどの内容を設定によって,韓国語,日本語,中国語,英語に変更することができるので,Windowsを再起動することなく,使用する人によって自分の使用する言語環境で作業を行えるので便利かもしれない.

*      *

 今回のComdexで感じたのは,以外に英語が通じないということだ.韓国には米軍の基地があったり,教育制度上,英語を第2外国語として選択した人が多いと聞いていたので安心していたのだが,実際にはほとんどのブースでは韓国語以外は通じないので,展示している製品の仕様を理解するのにかなり骨を折った.Comdex Koreaとは言っても,内覧会の傾向が強かった.参加する機会があっても,日本語は全く通じないと思って覚悟した方がよい.韓国は,三大財閥の第三位の大宇グループが倒産して,会長が行方不明になったり,韓国の東京にあたる,南山タワー(別名ソウルタワー)の所有者が営業不振でこれを売りに出したり,失業者が空前の増加傾向にあったりと,経済状態がある意味で日本よりも不安定な状況下にある.その中で,携帯産業やIT産業は相変わらず,躍進を続けている.

 韓国の友人によると,韓国には情報セキュリティだけを専門に勉強する学科が大学に設置されていて,暗号化やハッキングの技術を専門に研究した卒業生が,その方面の企業で歓迎されているとのことだ.残念ながら,国立系の大学には,この手の学科はないが,私立系の大学に何校かある.2002年には,韓日共同でサッカーのワールドカップが開催される運びとなったので,成田から2時間余りの隣の国へ,ちょっと足を伸ばしてみてはどうだろうか.韓国のIT産業のメッカ,ベンチャー企業がしのぎをけずっている,地下鉄2号線の三成駅の近く,テヘランロード,テヘランバレーなど訪れてみると,意外な発見があるかもしれない.


Copyright 1997-2001 Tiffany

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