さて,今回の主題となる常時接続の方法であるADSLとケーブルTVのインターネットに話題を移す.いま,ポルトガルではADSLとケーブルTVがしのぎを削っている.
日本では当たり前の知識だが,ADSLを利用するには電話回線が必要になる.すでに,ほとんどの家には電話回線があるため,新たに別の回線を引く必要がない.しかもどこの地域でも基本的には利用可能であるというメリットがある.しかしケーブルTVが提供するインターネットでは,利用可能地域が限られているということと,その場所が利用可能地域だったとしても,家に回線が来ていないときは工事を依頼して,ケーブルを引き込まなくてはならない.もちろん,電話回線と別の回線となるため,一般的にこの事実を知った段階で導入に抵抗を示す人が多い.さらに,大きな都市(リスボンやポルトなど)の近隣でない限りは,ほとんどの場合でサービス範囲外となり,選択することができない.
ADSLとケーブルTVのパッケージを表1と表2で比較してみる.ADSLもケーブルTVのインターネット接続サービスも,日本のシステムと比べた場合に疑問を感じるサービス内容があることに気づいただろうか.国内/国外の接続量制限があるのだ.この制限を越えると追加料金が発生する.通常,制限量を超えたところから100Mバイト単位で1から2ユーロが課金される.筆者の場合,最初は知らなかったので,いろいろなものを次々とダウンロードしまくっていた.そして,ある日どうも変な追加料金が発生しているな…と気づいて,はじめてこの事実を知ったのである.
我が家ではケーブルTVを入れて,IP電話とインターネット接続を利用している.しかし時折,ADSLの勧誘セールスが家に来ることがある.このセールスマンのことばに驚いた.「外国人だと,国外に接続することが多いでしょう? ですからお得なんです」.なんとも,返すことばがない.インターネットのコンセプトとしては,国境や距離感がなく自由な仮想空間であるというものだったのではなかろうか.
ポルトガルから国外につながる国際回線として,筆者の調べた限りでは,スペイン(マドリッド)に通じるものと,イギリスに通じるものがあるようだ.この回線の利用料が法外に高いために,このような制限が加えられているのではなかろうかと思ってしまう.
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