ベトナムは社会主義国家だが,1986年から市場経済化,対外開放化などを大胆に推し進める「ドイモイ」(刷新)政策を始めた.一昨年ぐらいからADSLが街に普及し,それにともないネット・カフェが街中,いや国中にあふれている.未舗装路を鶏が走っているような路地裏にもネット・カフェがあり,オンライン戦争ゲームに興じている子供達が(いや大人も…)いる.もちろん旅行者向けのホテルにもネット環境が存在する.
ドンコイ通りにあるシェラトン・ホテルではロビーで無線LANを使ってアクセスが可能だ.ノートPCを持っていれば簡単につなぐことができる.2時間で5USドルだ.しかし正面にはネット・カフェがある.そこはLAN設備と電源を貸してくれるのだ.ネット・カフェでは日本語入力ソフトどころか,フォントすら入っていないPCも見かけるので,ノートPCを持って行くと便利だ.料金は1時間で1USドル程度である.ホーチミン市に出張や旅行で出かけてもネット利用で困ることはないだろう.ホーチミン市の空港「タンソンニャット空港」にも15分2USドルでネットを利用できる場所があるのだが,これはいささか暴利だと思う.蛇足だが,ネット・カフェでアクセスした後は履歴やクッキー,キャッシュを削除しておこう.
以上はビジネスマン向けの「高価な」ネットの情報である.東京でいえば,新宿駅や東京駅周辺にある高級ホテルに泊まるとネットを使用するのにお金を払わなければならなくなる.ホーチミンの下町,デタム通り周辺のホテルではADSLが部屋に付いているのがあたりまえだ.ほとんどの場合,ホテルのロビーとネット・カフェがいっしょになって1階にある.観光客エリア「ドンコイ」では安くても一泊40USドルのホテルが,デタム通りなら20USドルになる.もちろん,ネット・アクセス料金込みである.ただし,持っているノートPCの共有は切っておこう.何のセキュリテイもかかっていないので,個々で注意しなければならない.
ベトナムのネット・ユーザは別にゲームだけにネット・カフェを使っているのではない.カフェで話をした若者に聞くとフリーメール・アドレスをみんな持っているので,「私書箱」のように使うのが一般的なのだそうだ.自分でPCを持つためには日本と同じで少なくとも300〜400USドルのお金をかけなければならないため,個人でPCを持てる人は少数である.そこでネット・カフェが隆盛しているのだ.また,ベトナムの若者も「出会い」に飢えている.ベトナムでは「出会い系」ページが流行っているそうだ.何か事故が起きたらきっと尻すぼみになると思うが.
なお,ベトナム郵政通信省直轄のベトナム・ネットワーク・インフォメーション・センタ(VNNIC)によると,現在国内のネット利用者は全国民の6.55%にあたる約534万人に増加した.プロバイダ契約件数は前年比175%増の143万件だそうだ.その統計には,ネット・カフェ人口は計算に入っていないと思われるので,実際はかなりの人数がネットを使用していると思われる.それに呼応してか,公安省は,ネットの不正利用について20〜5000万ドンの罰金を規定したとのことだ.不正利用とはクラッキング行為や,ウイルスのばら撒き,掲示板での誹謗中傷などである.ベトナムにも巨大掲示板があるのかどうかは知らないが.ちなみに,10万ドンで約700円である.
ベトナム国内の接続速度は意外に速く,1Mbpsは出ている.旅行で行ってもビジネスで行っても,特に支障はないはずだ.
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