理由はいろいろあると思います.
1)人材面での集中……人間のネットワークを重視
アイデアを実現していくためのプロがそろっているからでしょう. あらゆる場面でのプロフェッショナルが,スタートアップを立ち上げるには不可欠です.資金面はもちろんのこと,さまざまな面でベンチャーをサポートするプロがたくさんいます.技術者はもちろんですが,それ以外にマーケティングや営業のプロフェッショナル,また会社設立に必要な法的手続きを手伝ってくれる法律事務所や,ベンチャー企業を専門にしている銀行家などなど……このように人間のネットワークやインフラに頼る部分が多く,会って話を聞いたり仕事をすることで,ものごとが速く進行するのでしょう.ちなみに,成功しているベンチャーキャピタルは,地元以外の企業になかなか投資をしようとしません.車で運転して会いに行けない距離では投資をしないと言うシリコンバレー老舗ベンチャーキャピタルもいます.
2)顧客面でのメリット
実際に作り出した製品やサービスを,リスクを負って試してくれる顧客がシリコンバレーに集中するという例が多いようです.これは,シリコンバレーに存在する会社は新しい製品について敏感だという傾向があり,少々のリスクを負ってでもそれなりのメリットが感じられれば試してくれるケースが多く,また地元シリコンバレーの顧客から直接開発途上の製品やサービスについて早期のフィードバックが得られるという利点があります.半導体やソフトウェアデザインツールでも,まずシリコンバレーの著名な会社に試してもらい,フィードバックを得て磨きをかけるというのが当たり前のようになっています.
以上のようにインターネットや通信手段が向上しても,基本的な部分で人間のネットワーク,いわゆる「コネ」を最大限に利用しようとするシリコンバレーでは「すぐ会って話が聞ける」ということがたいせつです.自分のまわりにエンジニアやアイデアを出せる人達がたくさんいて,ちょっとしたことでも知り合いやまわりの人の意見を聞いたりブレーンストーミングをすることによって,実現可能かどうかを計ることができます.
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